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医学意見書交通事故著作権

医学文献を裁判所に提出する際の著作権処理:見落としがちなリスクと実務対応

医学意見書に医学論文を添付したり、訴訟で文献を証拠提出する場面では、著作権の扱いが見落とされがちです。本記事では医学文献の複製と著作権の原則、裁判手続のための複製という例外とその射程、引用との違い、許諾処理という安全策を、医学意見書作成の立場から整理します。

著者: 法医コンサルト編集部

医学意見書に医学論文を根拠として添付する、あるいは訴訟で医学文献を証拠として提出する——交通事故案件を扱う弁護士の先生方にとって、これらは珍しくない場面です。しかし、その際の著作権の扱いは意外と見落とされがちです。

医学論文も著作物であり、複製には原則として著作権者の許諾が必要です。裁判手続のための複製には例外規定がありますが、その射程は必ずしも明確ではなく、提出先や場面によっては慎重な判断が求められます。

本記事では、医学文献の複製と著作権の原則、裁判手続のための複製という例外とその限界、引用との違い、そして実務上の安全策を、医学意見書を作成する立場から整理します。なお、本記事は一般的な情報の整理であり、個別案件における著作権処理の要否は事案により異なります。具体的な判断は著作権実務に精通した専門家にご確認ください。

医学文献にも著作権がある——原則は複製に許諾が必要

医学論文や学術書、そこに掲載された図表は、いずれも著作物です。したがって、これらを複製(コピー)して利用する場合、原則として著作権者(著者・出版社等)の許諾が必要となります。

意見書の根拠として論文を添付する、準備書面に文献の写しを引用資料として付ける——こうした行為は複製にあたり得るため、「証拠として出すだけだから問題ない」と即断するのはリスクがあります。実務では、一般社団法人学術著作権協会(JAC)などの管理団体や出版社を通じた許諾処理が行われる場面もあります。

「裁判手続のために必要な複製」という例外と、その射程

著作権法には、裁判手続のために必要と認められる場合に、その必要と認められる限度で複製できるとする例外規定があります。この規定は、令和5年の著作権法改正で**「裁判手続等における複製等」(第41条の2)として整理**されました(改正前は第42条に置かれていた規定です。改正内容や施行状況は最新の条文でご確認ください)。

当事者・弁護士・鑑定人も対象になり得る

この例外は裁判所だけでなく、訴訟の当事者・弁護士・鑑定人等が訴訟資料(証拠書類や準備書面の論拠資料)として複製する場合にも及び得ると説明されています。医学意見書に文献を添付する場面も、訴訟の論拠資料としての性格を持つ限りで、この射程に入る余地があります。

「必要と認められる限度」を超えるリスク

ただし、認められるのはあくまで**「必要と認められる限度」**までです。裁判のための利用という範囲を逸脱した利用は許容されません。たとえば、裁判のための利用という目的を超えた公表や再配布は、別途権利侵害を問われ得るため、目的外の利用には注意が必要です。

自賠責認定段階・訴訟外は射程が必ずしも明確でない

実務上とくに留意したいのは、裁判手続に至らない場面です。後遺障害等級認定の申請・異議申立て(自賠責の認定段階)は裁判手続そのものではなく、訴訟外での書面開示なども含め、「裁判手続のために必要」という例外がそのまま及ぶかは必ずしも明確ではありません。場面に応じて、別途許諾処理を検討する方が安全な場合があります。

「引用」(第32条)で足りる場合と、足りない場合

複製の許諾とは別に、著作権法第32条は一定の要件を満たす引用を許諾なく認めています。論文の一部を、自説の補強のために必要な範囲で引用することは、適法な引用として認められる余地があります。

もっとも、適法な引用と認められるには、引用部分が明瞭に区別されていること、自らの記述が主で引用が従の関係にあること、出所が明示されていることなどが求められると一般に整理されています。

利用の態様許諾の要否(一般的整理)
適法な要件を満たす一部の引用許諾不要となり得る
論文全体の写しの添付・提出引用の範囲を超え、複製の問題となり得る

意見書の説得力を高めるために論文全体の写しを添付するような場合は、引用では足りず、複製として扱われる可能性が高いため、例外の射程や許諾処理を意識する必要があります。

実務上の安全策——許諾処理という選択肢

例外規定の射程が曖昧な場面では、あらかじめ著作権者の許諾を取得しておくことが、後工程の手戻りやリスクを抑える現実的な選択肢になります。

  • 出版社や学術著作権協会(JAC)等への許諾申請
  • 提出先・利用場面(自賠責認定段階、訴訟、訴訟外開示)ごとの必要性の検討
  • 引用で足りるか、複製として許諾を要するかの切り分け

これらを案件ごとに弁護士側で判断・処理するのは負担が小さくありません。ここに、医学意見書の作成段階で著作権処理まで対応するサービスの価値があります。

法医コンサルトの対応——文献写しの添付と必要な著作権処理

医師が代表を務める法医コンサルトでは、意見書において医学論文を根拠として明示し、引用文献の写しを意見書とあわせて提供しています。提供は、クラウドサービス「法医ナビ」上でのダウンロードが基本です。

加えて、提出先や場面によって著作権処理が必要となるケースに備え、必要に応じて出版社からの許諾も取得しています。これにより、弁護士の先生側で文献を一から探したり、場面ごとに許諾の要否を判断したりする手間を抑え、意見書がそのまま証拠資料として活用しやすい状態で納品されることを標準としています。

意見書の依頼先を選ぶ際の観点全体については 医学意見書の依頼先選び:弁護士が確認すべき3つの観点 を、活用場面については 弁護士業務における医学意見書の活用場面とは もあわせてご参照ください。異議申立て段階での医学的根拠の組み立てについては 後遺障害等級認定の異議申立て:成功率を上げる医学的根拠 で扱っています。

まとめ

医学文献の提出と著作権処理について、要点を整理します。

  • 医学論文・図表も著作物であり、複製には原則として著作権者の許諾が必要
  • 裁判手続のために必要な限度での複製は例外として認められ得る(令和5年改正で第41条の2に整理)が、「必要と認められる限度」を超える利用はリスクがある
  • 自賠責認定段階・訴訟外など、裁判手続に至らない場面は例外の射程が必ずしも明確でない
  • 引用(第32条)で足りる場合と、複製として許諾を要する場合の切り分けが重要
  • 射程が曖昧な場面では、許諾処理が現実的な安全策になる

法医コンサルトでは、医学論文を根拠として明示し、文献の写しを添付したうえで、必要に応じて著作権処理を行って意見書を納品しています。依頼から納品までの流れは サービスページ をご確認ください。

なお、本記事は一般的な情報を整理したものであり、個別案件における著作権処理の要否や条文の適用は事案によって異なります。具体的なご相談は お問い合わせ からお気軽にご連絡ください。

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